こんにちは。
以前スポーツクラブのインストラクターをやっていたという事で、たまに
「大学も体育大学とかスポーツ学科とかですか?」
と訊かれます。
わたくし・・・
文学部国文学科でございます。
小学校高学年くらいから、ずーーーーーっと
「大学は奈良か京都で、源氏物語とか平安時代の文学を勉強したい。」
って思い続け、奈良の大学の文学部国文学科に行きました。
その頃は自分は『THE・文系』と思っていたので、
医療系、スポーツ系に進むなんて
これっぽっちも思ってなかったですね～。
なので、本を読むことが好きなのですが、昨日部屋の本棚にあるファイルを整頓してたら
茨木のり子さんの詩集を発見★
詩集って短時間で読めるのに、心に響いたりするので好きなんです。
久しぶりにパラパラめくって読んでました。
今の時代SNSの普及で、楽しい、嬉しい、便利という恩恵の裏側で
ニュースに取り上げられるのは
バカッターと呼ばれる人たちのモラルのない投稿。
震災でみんな必死なのに嘘やデマの情報。
何気ない投稿にすら過剰に反応する人が増えて大炎上。
有名人の他意はない投稿の揚げ足取りやバッシング。
詐欺。
いじめ。
そんな社会に身を置いて、この詩を読んだら
ずしん
と来るものがありました。
「時代おくれ」 茨木のり子
車がない
ワープロがない
ビデオデッキがない
ファックスがない
パソコン インターネット 見たこともない
けれど格別支障もない
そんなに情報を集めてどうするの
そんなに急いで何をするの
頭はからっぽのまま
すぐに古びるがらくたは
我が山門に入るを許さず
（山門だって 木戸しかないのに）
はたからみれば嘲笑の時代おくれ
けれど進んで選びとった時代おくれ
もっともっと遅れたい
電話ひとつだって
おそるべき文明の利器で
ありたがっているうちに
盗聴も自由とか
便利なものはたいてい不快な副作用をともなう
川のまんなかに小舟を浮かべ
江戸時代のように密談しなければならない日がくるのかも
旧式の黒いダイヤルを
ゆっくり廻していると
相手は出ない
むなしく呼び出し音の鳴るあいだ
ふっと
行ったこともない
シッキムやブータンの子等の
襟足の匂いが風に乗って漂ってくる
どてらのような民族衣装
陽なたくさい枯れ草の匂い
何が起ころうと生き残れるのはあなたたち
まっとうとも思わずに
まっとうに生きているひとびとよ
ああ、そうだ。
私が小学校の頃は携帯電話なんてなかった。パソコンなんて家じゃ見たこともなかった。
携帯電話が無くったって
「じゃあ、〇〇に10時集合ね。」
と前日の約束で、みんなちゃんと集まってた。
「遅れたら心配かけるから時間通りに行かなきゃ。」
って。遅れたら「怒られる」よりも、「心配かける」って思ってた。
その約束の前に用事があっても、なんとか時間までに済ますよう頑張った。
でも、今は?
「ごめん。10分くらい遅れる。」
のラインやメールを送れば大丈夫って認識か、時間通りに来れない人増えた。
「ちょっとくらい遅れても、連絡すればいいか。」
って、約束に間に合うように前の用事を時間内に済ます努力を怠るようになった気がする。
ネットでたっくさんの情報を読んでは、
「ねえ、知ってる？」
って得た情報を話すのに、数日したら「あれ、何だっけ?」って忘れてる。
上辺でしか情報を見てない。頭働かせて情報を理解しようとしてないから、中身空っぽの情報しか持ってない。
短い詩だけど
こんなに考えさせられました。
テレビで現代社会に警鐘を鳴らすコメンテーターや著名人の言葉より
深く突き刺さりました。
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